有馬記念。JRAの競馬において特別な意味を持つこのレースは、今年で64回目を迎えます。そんな有馬記念、他のGIに比べて牝馬が勝利することは非常に珍しいといえます。そんな状況の中2008年に開催された第53回有馬記念では、見事にダイワスカーレットが優勝を果たしています。
この年の有馬記念は1番人気がダイワスカーレットでした。このレースが引退レース、さらに前走の天皇賞秋では宿敵ウオッカに敗れているので勝たなければなりません。デビュー戦から引退レースまで主戦を務めた安藤勝己騎手が手綱を握りレースを進めることに。この時点での勝利は桜花賞と秋華賞、エリザベス女王杯。桜花賞ではウオッカに勝利しており、オークスは両馬とも出走していません。もし出走していたならば十分勝利のチャンスもあったでしょう。
有馬記念の2番人気はマツリダゴッホ。前年に人気薄ながら有馬記念を制していて、とにかく中山競馬場が得意な馬です。恐らくそういった点もこの人気に反映されたのでしょう。3番人気は前走ジャパンCで衝撃の勝利を収めたスクリーンヒーロー。2500mのアルゼンチン共和国杯も制し、ジャパンCも勝っているので当然距離的な不安はありません。父グラスワンダーが制した舞台なので、父子制覇の可能性も。それらに続いて4番人気がメイショウサムソン、5番人気がアルナスライン。
レースがスタートすると、まずは1番人気のダイワスカーレットがハナを切ります。恐らくこれは想定通りなのでしょう。悠々と逃げる中、少し間が開いて続くのがカワカミプリンセス、そしてメイショウサムソンなど。道中少しの入れ替わりがあり向正面辺りでは、メイショウサムソンがカワカミプリンセスを交わします。しかしながら馬群自体は比較的凝縮され、3コーナーを迎えます。
3コーナーに向かう前の段階から後ろの馬の中にはすでに追い始める馬も少なくはなく、虎視眈々と有馬記念優勝の称号を狙っていました。4コーナーをカーブして最後の直線に入っても、逃げるダイワスカーレットには余裕が十分あります。後続を引き離し、後から来る馬に関しても全く問題にせず、ゴール板を過ぎる前からすでにガッツポーズ。
2着に入ったのは最低人気のアドマイヤモナーク、3着は10番人気のエアシェイディ。なんと3連単の払い戻しは985,580円でした。間違いなくこの時代でも輝いていたダイワスカーレットが有終の美を飾りました。